放射線Q&A

放射線Q&A

Q&A about Radiography

Q1.,放射線とは何でしょうか?

物質と作用して、直接あるいは間接的に電離を引き起こす性質を持つ電磁波や粒子線のことを指します。
我々の身の回りの環境にも、放射線はごく当たり前に存在しています。宇宙からやってくる宇宙線は代表的なもののひとつです。そのほか、土壌や鉱物、建材などにも、放射線を発する物質が含まれていたりします。
日本人よりも自然放射線を多く受けている人は世界中に存在します。こうした人たちを調査した結果、がんの発症や子供の遺伝性疾患のリスクについて、大きな差はないとの報告がされています。

Q2.,放射線は有害と聞きました。検診やドックで毎年、胸部をレントゲン撮影して大丈夫でしょうか? 

胸部レントゲン撮影の一回あたりの入射表面線量は約0.3mGyです。
放射線による人体の影響には、確定的影響と確率的影響があります。しかし、この程度の被ばく線量では、いずれの影響も生じることはありません。
検査の種類にもよりますが、身体(妊婦を除く)に影響があらわれる検査回数は、胸部撮影で約5000回、腹部撮影で約1000回程度です。(※CT検査は部位によって線量が大きく変化します。そのため、別途ご質問ください。)
検診やドックにおいては、病気の早期発見や早期治療により得られる利益の方が、放射線による影響よりもはるかに大きいです。また、病院で治療を受けている方も、検査での病態把握を通じ、大きな利益を得られていると言えます。よって、放射線検査が必要な場合、回数や頻度をあまり心配せずに受診することをお勧めします。

Q3.,放射線を受けると白血病やがんになりやすいって本当でしょうか?

放射線の影響が統計的に調べられるようになり、放射線による発がんリスクや白血病などの危険性が、ある程度把握されるようになりました。ただしこれらのデータは、線量が比較的多い場合(胸部撮影かつ1000回以上)をもとにしており、レントゲン検査のように線量が少ない場合については、未だ意見が分かれるところです。
そもそも、放射線ががんの原因となるのは、放射線が人体を通過する際に細胞内の染色体を傷つけてしまうような場合です。しかし、人間には回復能力があるため、損傷した細胞は通常再生されます。よって、そのすべてが発がんするとは限りません。

Q4.,子供や高齢者など家族が付き添いで撮影時に一緒にいても平気でしょうか?

患者さんの容態や検査内容によっては、ご家族の方に検査の介助を行っていただく場合があります。こうした場合でも、X線は患者様の撮影部位に限定して照射されます。そのため、介助の方が直接X線を被ばくすることはありません。また介助者には、不必要な放射線を防ぐプロテクターを着用していただきます。このことからも、被ばくの心配はほとんどないと言えます。

Q5.,放射線の検査で一回あたりどのくらい被ばくするのでしょうか?

公益社団法人日本診療放射線技師会では、医療被ばく線量の低減目標値(ガイドライン)を設け、被ばくの低減化に努めています。当センターでは、入射表面線量がこのガイドラインに適合するよう、線量を決めて撮影しています。このガイドライン内の被ばく線量であれば、放射線による影響がでることはまずありません。
一般撮影の場合は、以下のようになっています。

「医療被ばくガイドライン」で定める線量

撮影部位(撮影方向)ガイドライン(mGy)撮影部位ガイドライン(mGy)
頭部(正面/側面)3/2足関節0.3
頚椎(正側面)0.9前腕部0.2
胸椎(正面/側面)4/8手指部0.1
胸部(正面/側面)0.3/0.8小児胸部(0~5才)0.2
腹部(正面)3小児腹部(0才)0.3
腰椎(正面/側面)5/15小児腹部(3才)0.5
骨盤(正面)3小児腹部(5才)0.7
股関節(正面)4乳幼児股関節0.2
大腿部2乳房撮影平均乳腺線量 2
膝関節0.5乳房撮影入射表面線量 10

「医療被ばくガイドライン(診断参考レベル DRLs2015の公表を受けて)」
引用元:http://www.jart.jp/activity/hibaku_guideline.html#plink2

カテーテル治療(PCIやアブレーション)は、検査と異なり透視時間が数時間に及ぶ場合があります。治療にあたっては適切な線量に調整していますが、透視時間が長くなれば、脱毛や皮膚の発赤などの皮膚障害が発現する可能性があります。
皮膚障害が生じた場合、検査後すぐに状況をお伝えし、経過観察を行います。しかし、これらの障害が出たとしても、カテーテル治療は患者さんの利益が大きいため、必要不可欠な被ばくであるとも考えられます。