虚血部門

虚血部門

ischemic department

循環器内科第一部(虚血部門)

循環器内科第一部(虚血部門)では、主に下記疾患等に対するカテーテルを用いた低侵襲治療を行っています。
また、緊急を要する急性冠症候群等に対しては24時間on call体制で治療にあたっています。

1.虚血性心疾患(急性心筋梗塞・狭心症)

経皮的冠動脈形成術 (PCI: Percutaneous Coronary Intervention)

1987年に第一例を施行し2014年12月4日に10,000例に達しました。2023年1月現在までに13,500例を施行しています。ほとんどの症例で橈骨動脈(手首)、遠位橈骨動脈(親指の付け根)からの治療を行っており術直後から歩行可能です。また、古典的なバルーン、ステントによる治療に加えて施設認定が必要なロータブレーター、エキシマレーザー等、国内で認可されているすべての器具の使用が可能で、あらゆる病変に対応しています。

2.閉塞性動脈硬化症

末梢動脈に対するカテーテル治療(EVT: EndoVascular Treatment)

腸骨動脈~下肢動脈の動脈硬化による狭窄病変に対するカテーテル治療のほかに腎動脈狭窄、大動脈狭窄に対してのカテーテルを用いた血管内治療も行っています。浅大腿動脈ステントグラフトの認可施設でもあり、その他日本で認可されているすべての器具の使用が可能です。

3.大動脈瘤/大動脈解離

ステントグラフト内挿術(EVAR: Endovascular Aortic Repair TEVAR: thoracic endovascular aortic repair)

腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤、大動脈解離に対してのステントグラフトを用いた血管内治療を行っています。2009年7月から開始した腹部ステントグラフト内挿術は2023年1月現在、750例に達しています。大腿動脈からステントグラフトを挿入しますが、カットダウン(メスによる切開)はせず、止血ディバイスを使用した完全穿刺法で行うことにより鼠径部の3mm程度の創で治療を行っています。

4.構造的心疾患(SHD:Structural Heart Disease)

経カテーテル大動脈弁置換術 (TAVR: transcatheter aortic valve replacement / TAVI: Transcatheter Aortic Valve Implantation)

大動脈弁狭窄症に対するカテーテルを用いた大動脈弁置換術で2014年12月から開始し、多職種から形成されたハートチームで行い、2023年1月現在520例に達しています。従来の開胸による外科的大動脈弁置換術が困難な患者様に対しても可能な新しい治療法です。

経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip®)

経皮的僧帽弁接合不全修復術とは、重症の僧帽弁閉鎖不全症の患者さんで、外科手術が困難とされた方に対する新しい治療法です。大腿部の静脈からカテーテルを挿入し、心臓内の僧帽弁を修復する治療法です。胸を切開することなく、また従来の外科的弁置換術のように心臓を停止させる必要がない(人工心肺を使用しない)ことから、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。高齢者や心臓以外の合併症のため治療が行えないようなハイリスクの患者さんでも施行ができ、重症心不全の治療のひとつとして非常に有効な治療法です。当センターでは、2021年9月から開始しており、現在県内で唯一の施行認定施設です。

心房中隔欠損症、卵円孔開存症、動脈管開存症に対するカテーテル閉鎖術

開胸を必要とせず、カテーテルを太ももの付け根の静脈(大腿静脈)から挿入し、心臓まで閉鎖栓を運び治療を行う低侵襲(身体への負担が少ない)な方法です。
成人に対する治療では県内で唯一当センターでのみ可能

5.その他のカテーテル治療

  • 下大静脈フィルター挿入
  • 内臓動脈に対するカテーテル治療(拡張術、コイル塞栓術等)

令和4年治療実績

 件数
血管造影検査、カテーテルインターベンション総数2,158例
冠動脈造影検査(CAG)1,065例
経皮的冠動脈形成術(PCI)632例
経皮的末梢血管形成術(EVT)110例
腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(EVAR)67例
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)139例
経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip)19例
胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(TEVAR) (心臓外科共同)31例
先天性心疾患に対するカテーテル治療(心房中隔欠損閉鎖術/動脈管閉鎖術)19例
その他のカテーテル治療(コイル塞栓術、異物除去、IVCフィルター等)76例