弁膜症

弁膜症

valvular disease

心臓内には、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁の4つの弁があります。
それぞれの弁には弁尖同士がくっついたり,固くなって動きが悪くなり,弁が十分に開かなくなる狭窄症と弁尖同士がうまく閉じなくなり,弁に逆流を生じる閉鎖不全症という病気が起こります。弁と心臓の状態に合わせて、自己の弁を切り取り人工弁を縫着する弁置換術や自己の弁を残したまま修復する弁形成術を行います。
弁置換術に用いる弁には機械弁と生体弁があり,下記のごとく,それぞれの長所・短所を知ったうえで選択する必要があります.

機械弁生体弁
長所優れた耐久性弁置換術後3ヶ月以降は,ワーファリン内服を必要としない
短所生涯ワーファリン内服が必要(出血傾向が高まる)15年から20年で再手術が必要となる可能性あり

弁形成術は弁置換術に対して人工弁に関連する合併症を避けることが出来る点で有用であると考えられ,特に僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術は弁置換術に対して以下の点で有利と言われています.

  1. 長期ワーファリンの服用が必要ない
  2. 左室機能が保持できる
  3. 手術死亡率が低い
  4. 長期予後が良好
  5. 感染性心内膜炎の合併率が低い

よって当院ではこの治療を積極的に取り入れています.

僧帽弁形成術における人工弁輪

後尖逸脱に対する三角切除

心房細動を合併する場合は、積極的にメイズ手術,肺静脈隔離術,左心耳切除等を行い,術後,脳梗塞などの血栓塞栓症予防に努めています.