臨床工学課

臨床工学課

Clinical Engineering Course

臨床工学課の臨床工学技士16名は、医師の指示のもと、メディカルスタッフと協力して患者本位の安全な医療を提供できるよう医療機器の操作や保守点検、教育を行なっています。

心臓カテーテル室業務

心臓カテーテル室では心臓や血管に細い管(カテーテル)を挿入して治療や検査が行われています。臨床工学技士は治療や検査が安全に実施できるよう、心電図や血圧を監視・記録して患者さんの状態変化に注意を払っています。また、現在では診断に欠かすことのできない血管内超音波検査(IVUS)や光干渉断層法(OCT)、プレッシャーワイヤの操作を行なっています。治療中に患者さんの状態が急変した際には、大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助(PCPS)の操作を行います。

不整脈業務

不整脈業務では心筋焼灼術(アブレーション)や心臓電気生理検査(EPS)を実施する際に、心臓内に入れた電極カテーテルから記録される心内心電図を記録・解析します。また、3次元マッピング装置や高周波発生装置、心臓刺激装置の操作を行い、アブレーション治療が安全かつスムーズに実施されるよう業務に取り組んでいます。

植え込みデバイス業務

植え込みデバイスとはペースメーカや植え込み型除細動器(ICD)、両室ペーシング機能付き除細動器(CRT-D)などを指します。臨床工学技士はこれらのデバイスの植込み手術から、術後の病棟チェック、外来でのフォローアップでバッテリーの残量やリード線の状態、不整脈の履歴などを確認します。また、遠隔モニタリングシステムのデータ確認も実施しており、より早くデバイスの異常や不整脈の発生に対応できるよう業務に取り組んでいます。

手術室業務

手術室では主に心臓血管外科手術における、人工心肺装置の操作や、自己血回収装置の操作を行なっています。また、ペースメーカやICDを装着されている方が整形外科や消化器外科の手術を受けられる際には、設定の確認や、作動状況の確認を行い、安全に手術が実施されるよう業務に取り組んでいます。

補助循環業務

補助循環装置は機能が低下した心臓を助ける装置です。これには大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助装置(PCPS)、補助人工心臓(VAD)などがあります。臨床工学技士はこれらの装置の装着から、集中治療室での管理、装置からの離脱まで、装置が一貫して安全に使用されるよう、医師やメディカルスタッフと協力して管理業務を行います。また、植込み型補助人工心臓を植え込んだ方は、在宅で管理を行うので、在宅管理へ向けた教育や指導、ご自宅の環境調査、外来での装置フォローなどを行っています。

血液浄化療法業務

血液浄化療法で最も多いのが血液透析です。維持透析を受けられている方で心臓治療が必要な方に対して、入院中の血液透析を実施しています。また心臓の治療を受けた後、一時的に腎臓機能が低下した患者さんには持続的血液透析濾過(CRRT)を実施しています。他にもエンドトキシン吸着などのアフェレーシスも実施しています。

医療機器管理業務

医療機器管理業務では輸液ポンプやシリンジポンプ、人工呼吸器など多くの医療機器を中央管理しています。機器の貸し出し業務、使用後点検、定期点検、医療機器の購入・廃棄計画の策定など、医療機器が安全かつ効率的に使用できるよう業務に取り組んでいます。また、当院では医療機器管理業務の一部を株式会社メディカルバイオサイエンスに委託しています。

病院スタッフに対する医療機器の教育

医療機器に関する正しい知識を身につけてもらうため、看護師や医師、メディカルスタッフを対象とした医療機器研修会を実施しています。また、臨床工学課内でも新しいデバイスの研修会や症例検討会などを実施し日々研鑽に努めています。

学会認定資格

  • 人工心臓管理技術認定士:5名
  • 体外循環技術認定士:7名
  • ペースメーカ/ICD関連情報担当者(CDR):2名
  • 不整脈関連専門臨床工学技士:6名
  • 3学会合同呼吸療法認定士:5名
  • 透析技術認定士:1名
  • 臨床ME専門認定士:1名
  • 周術期管理チーム臨床工学技士:1名
  • 心血管インターベンション認定技師(ITE):1名
  • 認定臨床実習指導者:1名

学生臨床実習の受け入れ

臨床工学技士免許取得を目指す学生の臨床実習を受け入れています。認定臨床実習指導者を中心に、効果的な指導ができるようスタッフで取り組んでいます。

臨床工学課へご用のある方へ

業務の都合上、直ちに対応することが難しい場合が多くございます。ご用のある方は、あらかじめアポイントを取って頂くようにお願い致します。急用の場合は、外線から院内PHSで呼び出して下さい。

体外循環症例データベース事業について

患者様およびご家族の皆様へ

この事業は、一般社団法人日本体外循環技術医学会(以下、JaSECT)が中心となり、心臓血管手術あるいは治療に用いられる体外循環(人工心肺)のデータを全国規模で集積し、電子的に長期間蓄積されデータを統計的に処理し、客観的な数値や指標へと姿を変えて、体外循環を実施する医療関係者に有効に利用されることを目的としています。この取り組みにより全国の体外循環を用いた治療を受ける患者様の安全の追求に、そして、高品質の技術提供や技術水準の向上に繋げ、結果的に患者様の利益に還元してまいります。当院では、この活動を通して体外循環を用いた治療をお受けになる患者様へ、最善の医療技術の提供を実践するとともに、社会貢献にも協力していきたいと考えています。ぜひ、患者様とご家族様におかれましては、体外循環実施データを提供することのご理解とご支援を賜ることができれば幸いです。

実施責任者  群馬県立心臓血管センター 技術部 臨床工学課 技師長 安野 誠

1.,本事業への参加について

本事業への参加は、患者様の自由な意思に基づくものです。参加されたくない場合は、拒否する自由を保証いたします。参加を拒否されたことにより日常の診療等で患者様が不利益を被ることは一切ございません。

データ登録の目的

患者様により良い体外循環を提供するには、現状を把握することが重要です。全国から採取した人工心肺の実施データは、JaSECTに登録され、この情報を解析して体外循環医療の質改善に向けた検討が継続的に行われ、全国の医療機関から閲覧できるようになります。当院では、国内の標準的成績に照らして自施設の特徴と課題を把握し、安全でかつ高品質の医療技術の提供や、明日に向けた改善の取り組みを行います。

 また、全国の皆様が安心して体外循環を用いた手術・治療が受けられるように、より良い体外循環のあり方を示すための基礎資料とします。さらに、様々な研究と連携することで、臨床現場への確実な技術を提供するための取り組みに協力することができます。

登録される情報の内容

登録するデータは、日本国内(当院も含む)で行われた手術・治療に用いられた体外循環の方法等です。これらの情報は、それ自体で患者様個人を容易に特定できるものではありませんが、患者様にかかわる重要な情報ですので厳重に管理いたします。情報の取り扱いや安全管理にあたっては、関連する法令や取り決め(「個人情報保護法」、「疫学研究の倫理指針」、「臨床研究の倫理指針」等)を遵守しています。

2.,登録される情報の使われ方

登録されたデータは、参加施設の体外循環技術の向上ならびに手術・治療へのより良い医療技術提供に役立てるために、全国の参加施設ならびに臨床領域に統計的数値として還元されます。患者様個人を特定できる情報は一切提供されません。情報の公開にあたっては、JaSECTガイドライン策定委員会で十分に議論し、承認を得た情報のみが公開の対象となります。

*登録されたご自身のデータをご覧になりたい場合やお問い合わせは、実施責任者、安野 誠までご連絡ください。

学会からのご案内は、JaSECTガイドライン策定委員会 http://www.jasect.jp/でもご覧いただけます。
ご覧になりたい場合やお問い合わせは、実施責任者、安野 誠までご連絡ください。