病理検査課

 病理検査では、採取された検体を使って顕微鏡用のプレパラート標本を製作し、病気の診断を行っています。病気の診断は、日本病理学会が認定する病理専門医(病理医)が行っています。その業務は、大きく分けて次の3つがあります。

組織診検査

 手術や、内視鏡検査で採取された臓器の一部(組織)を顕微鏡標本にして検査します。顕微鏡標本の作製過程は以下のとおりです。

    • ①固定:組織や細胞の主要成分である蛋白質は時間経過によって腐敗し、構造が崩れてしまいます。それを防ぐために採取された検体をホルマリン固定することで、より安定した蛋白質に変化させることができます。
    • ②切り出し:病変の大きさや広がり方、色などを肉眼的に観察し組織を鏡検できる適当な大きさに切り出します。
    • ③アルコール脱水・キシレン置換・パラフィン浸透:自動固定包埋装置を用いてホルマリン固定された組織の構造を保持したまま、非水溶性であるパラフィンを浸透させます。
    • ④パラフィン包埋:組織をパラフィン(ろう)の中に埋め、薄く切るために必要な硬さと大きさ の塊(ブロック)にします。
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左:自動封入装置:プリムエイド
中:密閉式自動固定包埋装置:ETP Premier
右:真空自動固定包埋装置:バキュームロータリー
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パラフィン包埋ブロック作製装置
    • ⑤薄切:ミクロトームを用いて、パラフィン包埋されたブロックを3/1000mm(3μm)の厚さに薄切し、プレパラート(透明ガラス)の上にのせます。
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スライドフロストマーカー CFM-30
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左・中:滑走式ミクロトーム
右:ベアリング式ミクロトーム
    • ⑥染色・封入:顕微鏡で観察できるようにプレパラート上の組織に色を付けます。その後カバー ガラスをかけて封入し、永久的に観察可能な標本を作製します。
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病理検査 染色コーナー
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プレパラート標本
左:胃内視鏡下生検
中:胃癌手術材料
右:病理解剖例(腎臓)
    • ⑦鏡検・診断:顕微鏡を用いて、組織を40~1000倍に拡大して、構造や細胞を観察し、診 断を行います。この病理診断の結果によって、臨床医は予後の判定や治療方針を決定します。
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顕微鏡・デジタル写真撮影装置
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ディスカッション顕微鏡

細胞診検査

 喀痰・尿などの排泄物、胸水などの体腔液中の細胞を、塗抹標本にして、顕微鏡で観察し、出現し た細胞の良悪を判定します。臨床医は、この結果をふまえて次の検査に進みます。組織診とは異なり、 主に排泄物を検体とするため、検体採取時に痛みが伴わず、患者様への負担が少なくてすみます。 特に、喀痰の細胞診検査は健康診断に用いられ、肺癌の早期発見が期待できます。

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左:オートスメア 右:冷却遠心器
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細胞診染色コーナー

病理解剖

当院で不幸にしてなくなられた患者様は、ご家族の承諾のもと病理解剖をさせていただいております。その目的と詳細は以下のとおりです。

  • ①死因の解明:解剖の肉眼所見は、解剖終了後、主治医からご家族に説明があります。しかし、 解剖結果の報告はこれで終わりではありません。肉眼所見に加えて、作製された顕微鏡標本によ る病理組織学的最終診断が提出されます。ご遺族にも、ご要望に応じて、この最終診断を開示し、 ご説明します。死因がすべて明らかにできるわけではありませんが、病気の経過の中で何が起きていたのかについて、病理解剖は多くの解答を私たちに与えてくれます。
  • ②医療の質の維持と向上:病理解剖の数ヶ月後に、全解剖症例についてCPC(臨床・病理検討会) が開催され、多くの医療スタッフが一堂に会してディスカッションします。病理医は臨床上の問 題点や臨床医の疑問にできる限り答えることで、患者様の死を無駄にすることなく、病院医療の質 が維持され、向上していくことを願っています。臨床とは立場を異にした病理医によって症例が検証される病理解剖は、病院医療の自浄作用の役割をもあわせ持つものです。
  • ③医療スタッフの教育と研究:疾病の本質を理解することは、医療スタッフにとって最も重要なこ とです。多くの医療スタッフがCPCに参加することで、疾病についての知識と経験を学び共有することができます。当院では、医療スタッフだけでなく、実務研修生(臨床検査技師)や臨地実習 生(学生)など未だ勉強途上にある方々が勉強させていただく場としても病理解剖を位置づけています。また、病理解剖において得られた情報や資料は、ご遺族の承諾を得て様々な医学研究に活用させて頂いております